キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~
堺さんに挨拶をした後、もう少しコタロウの診察をしたいと虎谷先生に言われ、私とコタロウと先生は診察室にいた。
今は西岡さんがいないからか、家で会う時と同じ雰囲気の先生が目の前にいて、何となく変な感じがしていた。
「うん。大丈夫そうだな。でも、しばらくはおかしい様子がないか、気をつけて見ておいて。傷はないし大丈夫だとは思うけど、落ち着いたら血液検査とか検診もしておいた方がいいかもな。それは坂本さんの判断に任せるよ」
「はい」
「もうコタロウに逃げられないようにしろよ?」
「う、はい……。本当にお騒がせして、すみませんでした……」
何度同じことをしたかわからないけど、私は虎谷先生にペコリと頭を下げる。
膝に乗っているコタロウは突然現れた私の頭にきょとんとした表情で私のことを見上げる。
もう迷惑掛けないようにしないと。
……すでに遅いかもしれないけど嫌われたら嫌だし。
せめて、嫌がられない普通の患者でいたい。
「……そうだね。じゃあ、お礼してもらおうかな」
「えっ?」
少し間を置いて聞こえてきた先生の言葉に私は顔を上げると、先生が意地悪な笑みを浮かべていた。