キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~
「迷惑料ってやつ?くくっ」
「うっ、ほ、本当にごめんなさ」
「ふ、ウソウソ。冗談だよ。もう謝らなくていいからさ、明日……は疲れてるだろうからコタロウをちゃんと休ませてあげて。もちろん坂本さんもちゃんと休むように。坂本さんも風邪引くなよ?……そうだな、来週……は無理だな。再来週の日曜日って予定ある?」
「いや、特に何もなかったと……」
「そ。じゃあ、再来週の日曜日、俺に付き合って。その後はコタロウと遊ばせて。詳しいことは今度の土曜日にでも話そう」
「……ええっ!?」
土曜日じゃなくて、日曜日?
それって……いやいや、コタロウと遊ばせてってことだし、変な意味はないんだ。
きっと、『迷惑掛けたんだから、コタロウと思う存分遊ばせて』というところだろう。
でも……何故か期待をしてしまう私がいて。
ドキドキと鼓動が速くなっていく。
「拒否権はないからな?」
「!」
にっと笑い掛けられて、ドキッと心臓が音をたてた時、診察室のドアがコンコンと鳴った。
先生が「はい」と答えると、少し間を置いてドアが開いた。
そこにいたのは西岡さんだった。
「虎谷先生、もうすぐ時間なのでお願いします」
「わかりました」
虎谷先生がいつもの“獣医”の顔で答えると、西岡さんもキレイな笑顔を浮かべて頷いた。
そして私に目線を向ける。
「坂本さん、コタロウくん見つかって良かったですね」
「あっ、はい!ありがとうございます!ご心配お掛けして本当にすみませんでした」
虎谷先生が私を呼びに病院を抜け出したことで、西岡さんにも迷惑を掛けたのではないかと、私は立ち上がってコタロウを抱いたまま頭を下げて謝る。
西岡さんはいつものように柔らかい笑顔で「大丈夫ですよ」と言ってくれて、診察室から去っていった。