キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~
4.会いたいのは……キミ
~恋人
***
「あら?坂本さんじゃないですか?」
「え?あ、西岡さん!こんにちは」
「こんにちは」
スーパーの入り口の自動ドアが開き店の中に入ろうとした時、中から出てきた西岡さんにバッタリ出会った。
西岡さんは虎谷先生の助手を主に勤めている敏腕看護師さんだ。
性格もすごく親しみやすいもので、患者さんたちに人気のある人。
待合室で待っていると、よく「虎谷先生と西岡さんってお似合いよね。実は恋人同士だったりしそうよね」という会話が聞こえてくる。
確かにそうだよなぁ……と思いつつ、最近は虎谷先生には私みたいな凡人じゃなくて西岡さんみたいな美人さんがお似合いに決まってるなんて思ってしまったり、 本当に付き合ってたらどうしようと考えてしまったりして、少し苦しい気持ちになるんだけど。
考えても仕方のないことなのに……。
でも、西岡さんのことは女性として密かに憧れの人だったりするんだ。
「コタロウくんの様子はどうですか?その後、お変わりは?」
「大丈夫です。あの日のことはウソだったみたいに、元気過ぎるくらいで」
「それは良かった!雨も降ってて寒かったから風邪を引かないか心配していたんです」
「あっ、すみません……ご心配お掛けして」
「いえいえ!仕事から離れていても、患者さんのことをつい心配になるものなんです。ふふっ。今、コタロウくんはおうちでお留守番ですか?」
「あ、はい。キャットウォークで遊んでたので、その間に買い物に行こうと思ってそっと出てきちゃいました。コタロウはひとり遊びが好きなので助かるんですよね」
「ま、お利口さんですね」
ふふっと口元に手を当てて笑う仕草も、大人の女性だな、素敵だな、と思った。