キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~
 

どちらにしろ、真実は変わらないんだ。

……虎谷先生と西岡さんは恋人同士だってこと。

私は相手がいる先生のことを好きになってしまっていたということ。

そして、相手がいる人を自分の部屋に呼ぶような最低のことをしていたということ。

西岡さんが回りくどい言い方をした理由がわかった。

……そんなの、当事者にとっては浮気以外の何物でもないじゃない……。

虎谷先生はコタロウに会うためとしか思っていないのかもしれないけど、彼女の立場に立って考えてみたら、最低のことをしてる。


「坂本さん」

「!……はい」

「わかってもらえますよね?坂本さん、常識のある方だから」

「……」

「私も大事にはしたくないし、彼はただコタロウくんに会うためだけにそんな行動をしてしまっていただけだって信じてるから……この件についてはここで終わりにしたいんです。……もう、彼に近付かないって約束してもらえますよね?」

「……」


当たり前のことを言われているとわかっているのに、私は何も言えなかった。

頷くべきなのに、頷けない。

……それくらい、ショックだった。

結局のところ私は、先生にとってただの患者だとわかっていたのに、そう思う半面で優しくしてくれる先生にどこかで期待をしていたのだ。

 
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