キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~
「……じゃあ、そういうことですから。あっ、でもコタロウくんのことはちゃんとしてあげてくださいね?飼い主の感情でペットをないがしろにするのは、かわいそうですから」
「……」
「坂本さん?」
「あ……っ、も、もちろんです。コタロウはコタロウ、ですから」
「それなら良かった!私もコタロウくんは大好きだから」
いつものように明るく笑う西岡さんに、私の中に一気に罪悪感が生まれる。
どんなに好きでも、相手がいる人をこれ以上好きになっちゃいけない。
ここでちゃんと気持ちを止めておかないと、傷付く人が増えるだけだ。
……大丈夫。自覚したばかりの想い。
まだ、傷は浅くて済む。
それに、私以上に西岡さんの方がきっと傷ついていると思う。
それなのに、知らなかったとは言え、何度も部屋で会うような真似をして……ほんと、最低。
「あの……ごめんなさい」
「……ううん、わかってもらえたら私はそれで十分なんです。ただ彼のそばにいられればいいだけだから。それに……私、坂本さんは良い方だって信じてますから」
「……いえ、そんな」
西岡さんの無垢な笑顔がまぶしすぎて、私はつい目を伏せてしまう。
それとともにさらに膨らむ罪悪感。
「じゃあ、引き止めてしまってごめんなさい。また、コタロウくんのご飯、買いに来てくださいね」
「はい……」
ぺこっとお辞儀をして、西岡さんが足早に去っていく。
その足取りはすごく軽くて。
これから先生に会えることに加えて、抱えていた不安がなくなったからだろう。
でも、私は逆で。
これから西岡さんは虎谷先生のところに行くんだ、と思えば、胸が苦しくなった。
そんなこと、思う権利はないのに……。
私はしばらく、お店に入るのも忘れて立ち尽くしていた。