キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~
先週みたいに用事がなければ、もしかしたら先生はいつものように公園に来ているかもしれないけど、私の姿がないことを知れば、きっとすぐに他のネコちゃん探しに行ってくれるはずだ。
……そう、私は自分に言い聞かせていた。
先生は一患者に関わっていたことなんて、すぐに忘れるよ、と。
……コタロウ以上にかわいがることのできるネコちゃんが先生の前に現れますように、と。
私はまだまだ遊びに夢中のコタロウに目線を落とす。
「……ごめんね、コタ。せっかくできたコタロウのお友達だったのに、もう来てもらえなくなったの。寂しいけど、またふたりで楽しく過ごしていこうね?」
ふとコタロウがおもちゃを前足で押さえたまま私の顔を見上げた。
そして、まんまるな目を私に向けて、にゃおと鳴いた。
それと同時に私の心の中にあたたかい気持ちが広がっていき、癒しを感じる。
コタロウがいてくれて良かったと心から思う。
コタロウがいなければ虎谷先生に出逢うことはなかっただろうなと思うと、少し複雑な気分になったけど……。
先生に出逢わなければこんな寂しい思いをしなくても済んだけど、出逢ったおかげで久しぶりに“恋”というあたたかい気持ちを感じたのも紛れもない事実で。
結果的には失恋してしまったとはいえ、こんな気持ちを与えてくれた先生に出逢えたことは良かったと思うから。
そして慰めてくれるのはコタロウ。
そばにいてくれるのはコタロウ。
コタロウはたくさんのものを私にくれる。
「コタ。いつもありがとうね」
これからも一緒にいてね、とコタロウの頭を撫でた。