キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~
 
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少しだるさを残しながらの休日明け。

休み明けともあって病院を訪れる人が多いらしく、それはユズノ薬局も例外ではなかった。

特に午前中はお客さまが多く、激務に追われるようにしてあっという間に時間が過ぎていった。


昼休みにコタロウに癒されて戻ってきた午後もそこそこお客さまの数は多かったけど、そのピークを過ぎて少し落ち着いてきた頃、私はご年配の女性のお客さまのお会計をしていた。


「こちら、レシートとお薬手帳になります」

「はい、確かに。ありがとうございます」

「お大事になさってくださいね」


お客さまがお薬手帳などをバッグにしまう。

そのまま帰られるのかと思っていたら、お客さまの目線が私を向いて口を開いた。


「いつもありがとうございますね」

「え?いえ、はい……」


そんな声を掛けてもらって私は頷いたものの、その女性は帰ることもなく私の顔を見てニコニコ笑っていた。

私は何かお客さまの気に障るようなことをしてしまったのだろうかと思ってしまって、少し気を引き締めつつ笑顔を浮かべて首を傾げると、女性が口を開いた。


「いつもね、丁寧に対応していただいて助かっているの。ここだけの話、あなたの対応は他の方に比べてとても心地がいいから」

「!……そう言っていただけると光栄です。こちらこそ、いつもご利用いただきありがとうございます」


仕事に慣れているとは言っても、やっぱりいつも対応の仕方に問題がないかは不安なところがあるから、心地がいいと言ってもらえてホッとした気持ちが私の中に広がった。

女性の表情も目尻が下がっていてすごく柔らかいもので、あたたかみを感じる。

 
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