キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~
「……この年になってこんな自惚れ、バカみたい……」
私は公園の向こう側にたどり着いて、歩く速さを緩める。
何だか自分の馬鹿さに笑えてきてしまって、私は一人嘲笑した。
犬の散歩をしている人とすれ違い、ふとワンちゃんと目が合うけどすぐに反らされ、飼い主さんの方を見上げて楽しそうに歩いていく。
つい立ち止まって振り返りその姿を見ていると、よくわからないけど涙が溢れそうになった。
早く私も家に帰ってコタロウのぬくもりに触れて、癒されたい。
……そして、今頭の中に浮かんでいる二人の姿を早く忘れてしまいたい。
二人の姿を見て落ち込んでしまうような気持ちを抱えたままだと、これから動物病院に行って虎谷先生と西岡さんの姿を見るたびに、こんな胸の痛みと戦わないといけなくなるんだ。
そんなのは苦しすぎる。
「早く忘れよう……忘れなきゃ、いけない。私にはコタロウがいるじゃない。仕事だって……やりがいを見つけたじゃない……?」
「それだけで十分だよ」と呟いて、私は再び歩みを進め始める。
……虎谷先生への気持ちにはブレーキをかけて、そこにそっと置いていくように。