キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~
「ペットってそばにいてくれるだけで癒してくれますよね」
「本当に。どんなに嫌なことがあっても、マメとこうやってお散歩に行くだけで嫌な気持ちなんてどこかに飛んで行っちゃうのよね~。あなたのところのコタロウくんはあの後元気にしてるの?」
「あっ、はい。おかげさまで。今も家でひとり遊んでると思います」
「それなら良かったわ。コタロウくん、なかなかの怖がりさんみたいね?私もすごく怯えられちゃった」
「あっ、ご、ごめんなさい!悪気があるとかじゃなくて、コタロウ、本当に臆病で……堺さんだけじゃなくて、知らない人には殆ど怯えちゃうんです……ごめんなさい」
「ううん、謝らなくてもいいのよ~。病院でも看護師さんに対して怯えてるようだったから、怖がりのネコちゃんだなって思ってたの。でも、虎谷先生には安心したような顔して抱かれていたわねぇ~。獣医さんに怯える子って多いのに」
「……そう、なんですよね。変わってるのかもしれません」
同じことを璃世が言っていたことを思い出す。
「動物病院に行くと、マサコは怯えて大変なの。そんなに獣医さんになつくのは珍しいわよ」って。
きっと普通のワンちゃんやネコちゃんはそういう子が多いんだと思う。
堺さんが口元に手を当てて、思い出したように「そうそう」と言ってくる。
「虎谷先生もねぇ~いつもクールでしょう?私、目を疑ったのよ~。コタロウくんを抱いてあんな風に嬉しそうに笑う先生、見たことなかったから」
「あ、そうなんですか……」
「だからね、本当に大切な子なんだな、ってピンときたの。コタロウくんだけじゃなくて、その飼い主さんであるあなたのことも」
「!や、私はそんなんじゃ……」
「年の功よ?それに私、そういうの敏感なの。ふふっ」
「……」
堺さんは人差し指を立てて、キレイなウインクをする。
好意で言ってくれてるだろうから否定はできなかったけど、そういう風に見る人もいるんだなと思った。
私と虎谷先生はただの患者と獣医でしかないのに……。