キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~
……ということは、やっぱり西岡さんの彼氏さんは彰さんで……結婚する相手も樹さんじゃなくて彰さんだってこと?
え、でも、それなら西岡さんが樹さんのことが好きって言ってるのは何……?
ま、まさか、不倫……!?
全く頭の中が整理しきれなくて、いろんな想像が出てきてしまう。
「彰との結婚なんてやめるから、樹、私と付き合ってみてよ!絶対いい思いさせてあげるからっ」
「バカ言うなって!俺がどれだけ苦労して結婚までこぎつけたと思ってんだよ!?樹は邪魔するし、菜々はこっち見ねぇし、苦節15年以上だぜ!?それを無駄にすんなよ!」
「待て。俺は邪魔した覚えもないし、むしろ彰には協力してるだろ」
「え、そうだっけ?ていうか、菜々逃げんな!」
「やぁだぁっ!離してっ!もう、彰なんて知らないっ」
「嫌よ嫌よも好きのうちって言葉、知らねぇのか!?」
「はぁ!?意味わかんないこと言わないでよっ!っていうか、何で大事な時に帰ってきてくれないのよ……っ!」
「だから、新婚旅行のためだって言ってんだろ!?」
西岡さんと彰さんの勢いに私は呆然と見ることしかできない。
そして……徐々に西岡さんの性格が見えてきた気がしていた。
きっと……西岡さんは“自分の気持ちに素直になれない人”なんじゃないかって。
「……はぁ。これ埒あかねぇな。帰ろう、みーこ」
「え、でも」
「いいから。いつもこうなんだ。な……じゃなくて、西岡さんの天邪鬼に付き合うのは時間の無駄だから」
「え、あの……」
樹さんは自然な動きで私の手を取って歩き始め、私は西岡さんたちのことが気になりながらも、樹さんの後ろをただ着いていくだけだった。
西岡さんと彰さんはと言うと、私と樹さんが去っていくことには気付かず、二人でぎゃんぎゃんと言い合っていた。