キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~
~真実
***
人がほとんど歩いていない道を私と樹さんはゆっくりと歩いていた。
しばらく歩いてもずっと聞こえていた西岡さんと彰さんの言い合いは、すっかり聞こえなくなっている。
私と樹さんとの間には沈黙が佇んでいた。
私の頭の中にはさっきの光景がまだ鮮明に残っていて。
結局、何が真実なのか、まだよく理解していない状態だ。
ちゃんと筋を追って話してほしいな、と隣にいる樹さんのことをちらりと見上げると、ばちっと目が合った。
「!」
「……みーこ」
「はいっ?」
「コタって……どれくらい留守番できる?」
「へ?あ……えっと、トイレは片付けたばかりだしおやつも水も置いてきたし、しばらくはまだ大丈夫だと」
「……そう」
「樹さん?」
「じゃあ、今からの時間、俺にちょうだい」
「え、ひゃっ?」
樹さんは私の家の方向に向かっていた歩みを、突然くるりと踵を返して、今歩いてきた道を引き返し始めた。
「樹さんっ?どこに」
「俺の家。ゆっくり話したいから」
「!」
「コタには後でちゃんと詫びるから、今はみーこの時間を俺のものにさせて」