キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~
「……見たんです。先週の土曜日に、樹さんと西岡さんがブライダルサロンにいるところ」
「!」
「その前にも、患者さんたちが“樹さんと西岡さんが結婚するっていう会話を聞いた”って言ってたのを聞いたから……二人は結婚するんだって思ったんです。でも……私は信じたくなくて、樹さんから離れたくなくて、知らないふりをすることにしたんです」
「……みーこ」
「でも、実際にサロンで二人が幸せそうに笑い合ってるのを見て、私のワガママでそんなことをしちゃダメだって気付いて……今日、終わりにしようって決めたんです。……でも、やっぱり私、樹さんのことが好きなんです。離れたくない……っ!」
話しているうちに出てきてしまったのは涙。
樹さんを困らせるってわかっているけど、止まらなかった。
「ごめ、なさ……っ」
「みーこは何も悪くない。ごめん。みーこを不安にさせて苦しい思いをさせてたのは、全部俺だったんだな」
「っ!ち、ちが……っ」
「患者さんが何を聞いてそんなことを言ってたのかはわからないけど、さっきのことでわかったと思うけど西岡さんのことは本当に誤解だから。……確かにブライダルサロンには行ったけど、あれは彰が仕事で来れないって言うから仕方なく付き合っただけだったんだ。それに付き合えば、“みーこと俺の邪魔はしない”って西岡さんと約束したのもあって。これ以上、西岡さんの存在でみーこを不安にさせたくなかったから、それを一番の理由に話に乗ったんだ」
「……」
「西岡さんと彰は高校からの知り合いで、いつも3人でつるんでた。彰は西岡さんのことがずっと好きで、西岡さんは……俺のことを好きだって言ってて。でも俺は西岡さんに恋愛感情を抱くことはなかったから、3人の関係はずっと友達のままだった。大学も同じところで、そんな関係が大学卒業まで続いたんだ。俺は獣医学部で、動物とか研修とか、仕事をし出してからは仕事にはまりこんでいったから二人とはどんどん疎遠になっていったけど、何年も会わないうちにいつの間にか彰が西岡さんを落としててさ。西岡さんと動物病院で再会した時には二人は結婚を考えるような仲になってたから安心してたんだけど……俺がみーこのことを好きだって何でか簡単に気付かれて、あとは知っての通り」