キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~
「うん。でも、マサコちゃん、何事もなくて良かったな」
「ですね~さっきは本当にビックリしちゃいました……はぁ」
「みーこが驚く気持ちはわかるよ。ネコを飼い始めてから、ネコが初めて毛玉を吐いてる姿を見て驚く飼い主さんも多くて、よく病院にも来るんだ。でも、吐くことは病気じゃないし問題ないから」
樹さんは力が抜けてしまって動けずにいる私の代わりに、コタロウ用のペーパーを持ってきて、毛玉の固まりをひょいと取り上げる。
そして、マサコちゃん用のトイレのそばに置いていた排泄物入れに入れて、いつもコタロウのトイレを掃除してくれる時と同じように手を洗いに洗面台に向かっていった。
じゃーっという水の音を聞きながら、私はコタロウとマサコちゃんに目線を落とすと、コタロウがマサコちゃんにすりすりと擦り寄っていた。
「ほんと良かった……。コタ、マサコちゃん」
樹さんがいて良かった。私だけだったら焦るばかりだったはずだから。
安堵感が襲ってきてハァと息をついた時、樹さんの声が耳に入ってきた。
「じゃあ、今度こそ帰るな?マサコちゃんも大丈夫そうだし」
樹さんの言葉に、私は思わず樹さんのことを引き止めていた。
「あっ!ま、待ってください……!」
「!……うん?」
私の呼び掛けに樹さんが手に持っていたバッグを床に置いて、しゃがみこんでくれる。
私がどんな顔をしていたのかは自分ではわからないけど、樹さんは優しく笑いかけてくれて、その大きな手で私の頭をぽんと撫でてくれた。
その安心感に、私は樹さんに今の自分の気持ちをちゃんと伝えたいと心から思った。
近くなったその距離に私は勇気を出して口を開く。