キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~
「……わかりました。先生がそう言うなら」
私は不安な気持ちを持ちながらも、笑顔を見せてくれている森本先生に向かって、頷いた。
もしもの時はまた森本先生にお願いすればいいんだから、と。
森本先生は本当にあたたかい人ですごく好きな先生だから、寂しい気持ちも大きいけど……。
「コタロウ。先生にご挨拶しようか?」
コタロウの名前を呼ぶと、まん丸の瞳が私を映し、きょとんとした様子で私のことをじっと見ている。
私はコタロウを抱き抱え、先生の方にコタロウの顔を向けた。
先生が少し屈んでコタロウの目線に近づき、少し寂しそうな表情を浮かべて、口を開く。
「これからも元気で過ごすんだよ。あ、でも、たまにでもいいからコタロウくんの様子を見せにきてもらえたら嬉しいけど。って、わがままかな?」
「いえ!ぜひ!コタロウも先生に逢いたがると思いますから!ねっ、コタ!」
「良かった。じゃあ、僕のこと忘れないでくれな?コタロウくん」
森本先生がコタロウの頭を撫でると、コタロウは気持ち良さそうに目を細めた。
それは、2年間で培ったコタロウの信頼のしるしだ。
こうやって、私とコタロウはつつみぎ動物病院に通うようになった。