キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~
思いもよらない虎谷先生からの告白に、信じられない気持ちとともに胸がきゅーっと締め付けられるような感覚が襲ってくる。
……どうしよう。これ。
顔が熱いよ……。
虎谷先生から目を離せないでいると、先生の唇の端が上がり、ゆっくりと開いた。
「ネコ」
「……え?」
「俺、昔からネコがすっげぇ好きでさ」
「…………ね、こ?」
「うん、そう。他にやりたいこともなかったし、動物全般好きな方で苦しんでる動物がいたら助けたいと思ったし、何よりもいろんなネコに触れていたいからって獣医になろうって決めたんだ。勉強していくうちにそんなに簡単な気持ちでなれるものじゃないし、大変な仕事だってことも知ったんだけど、獣医になりたいって気持ちは変わらなかった。無事に獣医になって動物病院に雇ってもらえたのはいいんだけど、さすがに仕事中には患者のネコと遊ぶわけにもいかないし。普段は撫で回したい気持ちを必死に我慢しててさ」
「……はぁ」
「今日もそう。坂本さんがコタロウを揺らして楽しそうに遊んでる姿を見て、我慢するのに必死だった」
「……」
……いつもそっけなかったのは、我慢していたから。
いつもクールなのは、大好きなネコと遊びたい気持ちを我慢しているから。
それが真実なの……?
「あ、これ、他の人にはヒミツな?もちろん、堤先生や看護師たちにも。誰にも言ったことないんだ」
「……」
想像もしていなかった虎谷先生からの『告白』に、私はうんともすんとも言えずに呆然としていた。
『告白』=『虎谷先生がネコを溺愛しているという事実(こと)』。
つまり、先生が好きなのは私なんかじゃなくて……ネコ。
「好き」というセリフに大きな勘違いしてしまったことを恥ずかしく思ったけど、それ以上に虎谷先生の告白(真実)の衝撃の方が大きくて、恥ずかしさなんてあっという間にどこかに飛んで行ってしまった。
……あんなにクールな虎谷先生の裏側にこんなヒミツがあったなんて。