キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~
先生はコタロウの顔に鼻を近づけたり、その身体を揺らしたりして、すごく楽しそうにコタロウと戯れている。
それはそれは満面の笑みを浮かべて。
「あーやばいな。やっぱりコタロウ、すっげぇ俺の好みなんだけど」
「!」
「ネコが好きだとは言っても、やっぱり相性が合うネコとそうじゃないネコがいてさ。コタロウは抱いた感じとか雰囲気とかで、相性が良さそうだと思ってたんだよな。だから、担当医にさせてもらえるって聞いてすっげぇ嬉しかった」
「そう、ですか……それは良かった、です」
たまに私にも向けられる先生の嬉しそうな笑顔に、私の鼓動の速さは落ち着くことはなくて。
……ずっとその笑顔とコタロウと戯れる姿を見ていたいと思った。
この気持ちは何だろう?
その答えはわからないけど、虎谷先生の笑顔をコタロウだけじゃなくて私にももっと向けて欲しいと思ってしまって、私は口を開く。
「……先生」
「え?」
「……コタロウ、オスですけどいいんですか?」
「……ぷっ。いいよ。そこは気にしないから」
「オスでもメスでも、来るもの拒まずなんですね」
「うん。別に気にしない。かわいいものはかわいいし。……あ、でも、勘違いしないで欲しいんだけど」
緩んでいた表情を虎谷先生はきゅっと引き締め、コタロウを肩に抱くようにして、私に向かって真っ直ぐと言い放った。
「俺の恋愛対象になるのは、人間のメスだけだから」
私をからかうような意地悪な笑顔が虎谷先生に浮かぶ。
それとともに浮かんだのは……私のトクンと跳ねる鼓動。
この鼓動が意味のあるものかどうかなんて、今の私にはわかるわけもなく。
ただ、虎谷先生って人を惹きつける人だな、と思った。