キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~
~素顔
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「お大事に」
私はお薬のお会計を済ませたお客さまを笑顔で見送り、ふぅと一息ついた。
今日は土曜日。
近くにある病院が午前中診療ともあって、朝から薬を受け取りに来るお客さんの波がずっと途切れなかった。
慌ただしくても、落ち着いて、正確に、笑顔で接客。
これがこの仕事をする上でのモットーだ。
気持ちを引き締めていないとそうはできないからかなり疲れてしまうんだけど、それが私の仕事だから。
13時を過ぎ、病院の診療時間が終わったようで、ようやく一段落したようだ。
もう、お客さまもほとんど来ないだろう。
私はこのユズノ薬局で調剤薬局事務の仕事をしていて、薬剤師とは違って直接薬を扱うわけではないけど、処方箋の受け取りや確認をしたりお客さまとお話をしたり、レセプトの作成、お会計と、その業務は様々でやりがいのある仕事だ。
残業免除のためにお給料はそんなに高くないけど、私はこの仕事に誇りを持っているし、前職と比べたら数倍もやりがいを感じている。
きっと、私にはこの仕事が向いているのだろう。
それに……何よりも、家から職場まで歩いて10分という距離というのが、この仕事の一番の魅力だ。
魅力を感じる理由はすごく簡単なこと。
昼休みに入れば、コタロウの様子を見に家に帰ることが可能だからだ。
コタロウは私が仕事に行っている間は、家でひとりお留守番だ。
最初は家にコタロウを置いていくことに不安を感じていたけど、コタロウは意外にもお留守番が得意らしく、半日程度であれば家を空けていても全然問題はなくて。
用事で半日以上家を空けていた時も、普段の生活の中でも部屋を荒らされたことは一度もないし、隣近所から鳴き声がうるさいという苦情も一度も来たことはない。
それでも昼休みに様子を見に行くのは、単に私の過保護が原因なだけだ。
今日はあと30分もすれば仕事は終わり。
天気もいいし、帰って家事を済ませたら、コタロウとベランダでひなたぼっこをしながらブラッシングをしてあげて、遊ぼう。