キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~
形のなかったそれが“恋”という形になったことを自覚した途端耳に入ってきたのは、みゃおというコタロウの鳴き声だった。
顔が熱くなるのを感じながらはっと声の方を見ると、コタロウが私と虎谷先生のことを『何だろう?』という表情で首を傾げて見ていた。
いつの間にかコタロウは起きていたらしい。
その視線に虎谷先生の手が私の頭からぱっと離れた。
「っと!悪い悪い。コタロウの大事なご主人様に勝手に触れちゃって、ごめんな?」
「!な、何ですか……それっ」
「いや、コタロウに嫌われたくないし。謝っておこうかと」
おいで、と言って虎谷先生がコタロウを抱き上げると、コタロウがちょっと不満そうに尻尾をぶんぶんと揺らし、身体もゆらゆらと揺らす。
「あ、やっぱり怒ってんじゃん。なんだよー許せって、な?……あ」
ご機嫌を取るようにコタロウに声を掛けていた虎谷先生の手の中から、するりと抜け出したコタロウが私の膝にすとんと乗ってきて、私のことを見上げた。
まんまるなキラキラと輝くキレイな目が私を映し出し、私はそれに一気に囚われてしまった。
先生よりも私のことを選んで来てくれたコタロウの気持ちがすごく嬉しくて、私はコタロウを抱えてぎゅうっと抱きしめた。
「もうっ。コタ~大好きー!」
「あっ、何それ。なんかジェラシー」
「なっ、何を言ってるんですかっ!コタが望んだことですもん!」
「だってさぁ」
ぶつぶつと言いながら恨めしそうに私のことを見る虎谷先生に、私はぷっと吹き出してしまった。
コタロウを撫でながらくすくすと笑ってしまっていると、さらに虎谷先生は不機嫌そうな表情になってしまったけど。