キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~
コタロウを抱く私の手ごとぐいっと引っ張られ、私の身体はバランスを崩す。
でも床に倒れることはなく……寄りかかっていたのは虎谷先生の胸だった。
そして、私の肩をがっちりと支えるのは、先生の力強い腕で。
目の前にはきょとんとした表情のコタロウがいる。
「……えっ!?」
「役得、ってやつだな。うん」
「!!」
「……はぁ。落ち着く」
耳のすぐそばで聞こえてきた虎谷先生の低くて甘すぎる声と吐息に、身体が一気に熱くなった。
先生の口元が私の耳に一瞬触れたように感じてしまって、心臓がこれでもかというくらい破裂してしまいそうなほど鼓動が速くなってしまう。
な、な、何が起こってるのっ!?
パニックになりながらも私はコタロウを先生に預けるようにして手からぱっと離し、がばっと身体を起こした。
バクバクと鳴る心臓を誤魔化すように、私は虎谷先生に向かって吠える。
「なっ、何するんですかっ!?」
「あれ?もう抱かせてくれないんだ?抱かせてくれるって言ったの、坂本さんなのに」
「~~そういう意味じゃありませんっ!」
「そうなの?それは残念。……くくっ」
にやりと悪い笑みを浮かべながらコタロウの身体をよしよしと撫でる虎谷先生に、からかわれたんだと気付き、悔しい気持ちが溢れてくる。
そう思うのと同時に、ついさっき自覚した気持ちを思い出して、全身が熱くなっていくのも感じていた。
こんな風に触れられたら、心臓飛び出しちゃうし!と思いながら、私は虎谷先生に反撃を加える。