キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~
「恋してるなんて、いいじゃない~。心配してたのよ?美夜子ってばコタロウにばっかり夢中で、ここ数年は彼氏だけじゃなくて、好きな人を作る気配すら見せなかったから」
「璃世まで、お姉ちゃんと同じこと言わないでよ……」
「だって本当のことでしょ?で?どうなの?脈はありそうなの!?」
楽しそうに聞いてくる璃世に、私ははぁと息をついて答える。
「……あるわけないよ。だって、コタロウの担当医なんだよ?私はただの飼い主としか見られてないんだから」
「えー?そんなのわかんないじゃない!患者から恋人に発展!全然ありえるって!それに、美夜子には病院で見せない素顔も見せてくれてるんでしょ?」
「……それは、そうだけど。でも」
「自信持ちなさいよ!それ、絶対脈ありだって~」
確かに、そう。
虎谷先生は私には素顔を見せてくれている……と思う。
少なくとも、病院では見せない表情を病院以外では見せてくれるし。
でも、それを見せているのは私だけとは限らなくて。
他に素顔を見せるような人がいるんじゃないかって思うんだ。
所詮、私はただのコタロウの飼い主でしかないんだし、“大好きなコタロウ”の飼い主だから、“同志”として気を許してくれていて、素顔を見せてくれているのかもしれない。
はたまた、ただのからかい相手ってところでしかないだろう。
どう考えても虎谷先生が私を意識してくれているとは思えないし、何の根拠もなく、自信なんて持てるはずはないんだ。
こう思ってしまう私の口から出てくる言葉は、やっぱりネガティブなものばかりだった。