微熱で溶ける恋心
帰り道、喪服に身を包み、とぼとぼ歩く私たち。
私も、逸平も、涙は出なかった。
けれど、どうしても寂しくて、1人でいたくなくて、
「逸平、」
その時の私は、本当にサイテーだったと思ってる。
「もう少しだけ、一緒にいて?」
お互い貪るようなキスをしながら喪服を床に落としていく。
その時はただ、この状況から目を背けたかった。
とにかく隙間を埋めたかった。
首筋に衝撃が走り、僅かに顔を歪める。
彼はそんなのお構いなしでホックを外し、
「可愛い。」
優しく、でも少し強引に私を溶かしていき、
1度目はそのまま玄関で、
2度目はベッドで、
丁寧に丁寧に抱いてくれた。