微熱で溶ける恋心
よほど寂しかったのだろう。
お互い抱きつくように寝たみたいで、その格好で目が覚めた。
家に帰ることを考えたらそろそろ出なきゃ。
「逸平、」
彼は起こされることに慣れているのを知っていた。
小さな声で呼びかけただけでゆっくり目を開ける。
「私、帰るね」
また寝て良いから、とその腕から抜け出そうとすると、
「・・・梓、」
ぎゅっと、抱きしめられた。
逸平の目が、真剣だった。
それだけで、これから何を言おうとしているのか何となく察してしまって、数秒、考え、
「逸平、」
私もぎゅっと抱きつき、耳元で、
「本当にありがとう」
感謝を囁く。