微熱で溶ける恋心
転機
それは正に唐突過ぎる事件だった。
「嘘・・・ですよね?」
営業時間の合間にかかってきた本社からの電話に耳を疑った。
しかし私が問い質したところで話は決着が付いていたよう。
「どうしたの?」
心配そうに寄ってきたパートさんを見て涙が出そうになった。
そうだ、私は別に良いんだ。
このパートさん達はどうなる?行くあては?
「コンペ、負けたんだって」
驚きだった。
2年に一度ある契約更新のコンペはもちろん毎年危なげなく勝ち取っていたし、
私は現場でできる限りのことをする、だからそれを繋ぐのは営業の仕事だと思っていた。
それが、
「いや~、クライアントが頑なで。どうやら倍近い安価で出来るって言ったようでさ。」
そう言って競合他社の名前を挙げた。