微熱で溶ける恋心
「お前、次どこ行くの?」
彼の鋭い目が光る。
きっと仕事中はこんな怖い顔、絶対にしないのだろう。
「新規オープンのカフェ」
「へぇ」
新規オープンなんて凄いじゃん、なんて目は全然笑ってない。
「昇進だもんな」
「そんな言い方・・・」
「こんな小さいとこから華やかでお洒落なカフェに行けて嬉しい?」
「っ・・・」
私が悔しくて何も言い返せず、唇をきゅっと結ぶ。
すると彼は逆に顔から力を抜き、
「・・・ごめん」
箸を置き、私の頭に右手を乗せた。
「言い過ぎた」
「・・・」
「寂しくてつい。」
ほら、俺寂しがり屋だからさ、と目尻を下げる。