微熱で溶ける恋心
ずっと好きだと言わせなかったのは私。
そしてその空気を察して気持ちを抑えてくれた彼。
嬉しかった。
でも、答えは決まっていた。
「・・・ごめんなさい」
俯いた私、溜息を吐く彼。
「・・・敢えて、理由を聞いても良い?」
無理やり抱いたから?キスしたから?
そう問いかける彼に、私はただ謝罪を口にすることしか出来なかった。
「酷い顔」
鏡に映った顔はとてもサービス業に就く者の顔じゃなくて、なんとか化粧で誤魔化す。
あんな事があったすぐ次の日でも逸平と顔を合わせなきゃなのは辛いけど、大丈夫。
もうすぐ私はここを離れて、新しいラウンジがオープンする。
私なんかよりきっと可愛い子が赴任して、彼もすぐに私の事を忘れるだろう。