微熱で溶ける恋心
「でも、私はどうすることも出来ないよ?」
相手の会社に苦言を呈する立場にないし、サービス悪いとは言え契約違反をしている訳ではないし。
彼はフッと柔らかい笑みを溢し、
「そんなのお前に会う口実だよ」
どうにかして欲しいなんて思ってないよ、と肩を竦める。
そしてダメ元で聞くけど、と前置きし、
「ねぇ、どうしたら好きになって貰える?」
「っ・・・」
僅かにその距離を詰めた。
「フラれたのにこういうこと聞くのカッコ悪いって分かってるけど、でも、そこまでしてでも知りたい」
“どうしたら君の気持ちは俺に向く?”
その言葉は、胸にずっしりのしかかってきた。
そんな中、やっと絞り出せたのは、
「逸平は、私なんかと釣り合わない」
なんてネガティブなもの。
「勝手に決めんなよ」
「だって、逸平は仕事も出来て、人気者で、モテるし・・・」
ウジウジ、俯きがちに話す私に、彼はピシャリ、と言った。