微熱で溶ける恋心
「お前さぁ、」
逸平が仕事で怒っている口調を使い始めたため、
「はいっ、」
ついクソ真面目に返事をしてしまう。
なんだなんだ、と身構えると、
「・・・そんなに俺のこと好きなの?」
テーブルに片肘を突いて、ニヤリ、笑う。
「・・・」
「嫌になるほど、好き?」
ねぇ、答えてよ、なんて私の気なんか知らずに急かしやがって。
「好き・・・です。」
蚊の鳴くような声だったが、彼の耳に届くには十分だった。
彼は無言で伝票を持って立ち上がる。
「どこ行くの?」
「ホテル」
なんて男らしい誘い方!というか潔い!