微熱で溶ける恋心
「俺がどれだけお前しか見てないか教えてやる」
そう言われ連れてこられたのは、
「無理!絶対無理!」
「おい早くしろよ、余計恥ずかしいぞ」
前の職場、そして逸平の勤めるホテルで。
「あんたどういう神経してるの!?」
「どうもこうも、」
チェックインをしながら、
「別に恥ずかしい関係じゃないし。というか本気だから隠す物でもないし」
「だからって!」
なぜここなのだ、職場大好き人間か。
フロントスタッフなどが「川上さん久々~」なんて声をかけてくれるけどそんなことはどうでも良い。
案内はいらないよ、と鍵を受け取りエレベーターに乗り込むと、
「じゃあ薄汚れたラブホが良かったか?」
「そう言う問題じゃなくて・・・」
この男の頭には薄汚れたラブホかここの2択しかないのだろうか。