微熱で溶ける恋心
そこでなかなか到着しないエレベーターに疑問を持ち見上げると、
「えっ・・・」
「そりゃスイートだろ」
最上階の1つ下、値段的には3番目に高い部屋とは言え1泊大台に乗るか乗らないかの値段だった気がする。
余計に極端な2択となった。
「お前長年ここで仕事してて泊まったことないだろうからさ」
その台詞とともに部屋へ入ると、
「うわ・・・」
夜景が一望できる大きな窓、3人掛けの広々ソファ、39インチのテレビ。
さすが一流ホテルのスイート、一生泊まることはないだろうと思っていた世界。
先程まで渋っていたのが嘘のようにはしゃぐ私に彼は、
「とりあえずこっちね」
と隣の部屋へ引きずると・・・
「っ・・・」
真っ白なシーツと枕カバー。
キングサイズのベッドが存在感を出している。