cafe log♪
「ええ。ちょっと待っててね?」

がらん、と音を立てながらフライパンを取りだして作業を始める。

食事がメインの店では無いとはいえ、一応基本の食材は常に揃っている。

本当に友達と会話しているような、臨機応変な対応を売りとしているからだ。

もっとも、ここの従業員は必ずしも店のコンセプトだの何だのということに気を使っている訳ではないが。

咲夜がいい例だ。

店のコンセプトなどを考えているのは専らオーナーなので、ただの雇われである咲夜達には大して興味の無い話だった。

咲夜など、店の利益は無視して金銭を取らないなどと言い出すし。

カフェとしてどうなんだ、と思われることもあるだろうが…

こういう店だ。

としか言いようが無い位、分類に縛られない空間だと思っておこう。

「…そういえば、家族やカフェ仲間以外にお料理作るのなんて初めてだわ」

ザカザカと菜箸を動かしながら笑う咲夜。

「何だか少し緊張するわね」

との言葉に、宗太もアハハと笑い返す。

「僕が初めてのお相手だなんて…

嬉しいです!」

ニコニコと笑みを絶やさない、芯から嬉しそうな素振り。

とりあえず人の良さはかもしだされている。

「そういってもらえると嬉しいわね。

貴方が初めての人で良かった♪」

ふふ、と自然な笑みを溢して、手近な皿に盛り付ける。

「はい、どうぞ♪」

カタ、とカウンターに置かれたナポリタン。

咲夜の細い指が離れると、宗太は皿を引き寄せてさっそく箸を付けた。
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