生徒会
「バスケ部!バスケ部はどうですかー!」
「是非とも漫画研究部へ!」
「すみませんが…生憎、部活動に参加する予定は無いもので…。」
相原高校、入学式。新入生をターゲットにした、部活動勧誘の声。やたら耳に届いて煩わしい。…というか。あの人、頑張って断ろうとしてるな。…だけど、お生憎様だね。そんなんじゃ駄目。だから。
「お話の途中すいません。入学式まで時間が少ないので、失礼します。行きましょう。」
「え…。」
頑張って断ろうとしてたこの女子を助けた。というか、助けたと言うよりかは、無意識に助けを求められた、の方が正しい。こういう機会は無駄にしない。一瞬ではあるが、目線が俺を捉えた。こういう無意識は、俺にとっては好都合。自分の地位を確立するためには、必要不可欠だからね。
「大丈夫でしたか?」
「え…はい、ありがとうございます…。」
予想通り、彼女の頬は赤く染まった。連れて歩く為に握った手も、理由の1つだろうな。
「ごめ…勝手に握って…。」
パッと手を離す。申し訳ない気持ちが伝わる顔も忘れない。
「良いの!!それより、さっきは本当に…。」
「良いんですよ。俺は、困ってる人は助けずに居られないんで。」
「そうなんだ…。」
全く、事が順調に進みすぎて、自分でも恐ろしいな。
「では、これで。」
名残惜しそうな目線を背中に受け、その場を去る。
これで終わり。良い人の印象を植え付ける。たったそれだけ。簡単単純。土台は頑丈に作らないとね。彼女がどう思うかは知らないけど、きっと嵌まった。俺の罠に。特に女子は簡単だ。ちょっと優しくすれば良い人、順調に進めば好きな人。本当に単純。ちょっとツマラナイと思うけど。自我のある人形とでも言っておこうか。
全く、俺は楽しいよ。
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