生徒会

生徒会へようこそ

「ごめん…俺、口下手だから…あんま…話せないかも…。」
「良いって良いって!」
「…ありがとな。」
勿論、口下手なんて嘘。ただの偽り。こうしておけば、質問とかに答えられなくても、大概大丈夫になる。「なんて言ったら良いかわからない」とか言っとけば良いんだから、本当に楽。
「舞園君!」
あ、早速か。
「…はい。」
簡単な受け答えをして振り返れば、其処には数名の女子が。
「どこの中学校から来たの?」
「えと…平中学校…。」
「平かぁ。ねぇ、彼女とかは?」
「あ…そういうのは居ない…。」
「なんか可愛い~!」
言っとけ言っとけ。それより、偽りの俺を否定しないことには、心から感謝しておこう。
「舞園君、真面目っぽい~。黒縁眼鏡掛けてるし!」
「え…俺そんな真面目じゃ…。」
というか、黒縁眼鏡だから真面目っぽいって、どんな偏見なんだよ。じゃあ金髪のチャラ男が黒縁眼鏡掛けてたら真面目と判断するのか己は。
「生徒会とか似合いそうだよね~。」
「生徒会…。」
「舞園君、生徒会入ったこと無いの?」
「あ…小学校からずっと…入ってた…。」
生徒会は、言わば生徒の中でのトップ。偽り続けるには、何かと都合が良かったんだろうな。…あれ、じゃあ小学校からこういう風に偽ってたのか。無意識コワーイ。…まあ無理も無いのかね。偽れば良いってことに気づいたの、小3だし。
「すごーい!じゃあ今年も?」
「うん…。」
「応援するね!」
「…ありがと。」
ニコッと効果音が付くくらいに、笑ってみせた。
「(格好いい…!)」
はい嵌まったー。本当簡単。どれだけ単純。
「…あれ?」
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