魔法と約束ごと








「ありえない。いや、信じたくない」



「僕は嬉しいけどなぁ」



「私だって嫌なんて言ってない。ただこれ何回目?同じくだりをもう何十回もやってる気がする」



「うん。毎回ナツミが始めるからね」



「違……くはないけど違う。元はと言えば、ソラのせいでしょ」



「えぇっ?」



私はかなり不機嫌だ。

それもこれも、目の前で「僕は何もしてないんだけど」と困った顔をしているソラのせい。

確かにソラは悪くないかもしれない。


だけど文句の一つや二つ漏らしてもいいでしょ。



「だって40回目だよ、これで!」



「うん」



「おかしいでしょ!?」



「そうかな」



あぁ、ソラもおかしくなっちゃったの。


連続40回、試験のペアが一緒ってどういうことなの。


誰か説明してくれないだろうか。

目の前にいる奴に訊いてもこいつは未だにサンタクロースを信じているような奴なので、納得のいく答えは出してくれません。



「なっちゃったものは仕方ないんだし、頑張ろうね。ナツミ」



「はぁ。ま、ソラなら魔法でへまを外すことはないから安心なんだけどさ」



と言い聞かせ、この不満を抑える。

普段は間抜けなことしかしないソラでも魔法の腕はトップクラスにあたる。

全く、変なところで器用なんだから。



「今回の試験はどんなのだっけ」



「それ忘れちゃまずいでしょ」




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