この恋の結末【短編:完結】
でも、涼弥先生……。
母の事がそんなに好きだった?
私みたいな子どもより
母の方が魅力的だった?
あの日母にあんな事されて
先生は嬉しかった?
今どうしてるかなんてわからないから
大学の名前だけはわかるけど
先生の住所わからないし
父親にバレたら
先生に迷惑かけるから会いにも行けない。
何より母と一緒の所に
また遭遇したらと思うと……。
どうにも出来ない、何も出来ない
無力で子どもな自分が
嫌いで堪らない。
胸が痛くて堪らない。
母が好きな先生を
それでも忘れたくても忘れられない
往生際の悪い自分が情けなくて堪らない。
以来私は
中学校、高校と恋愛は出来なかった。
涼弥先生を吹っ切れたつもりでも
新しい恋とか考える余裕もなかった。
こんな私でも好きだと
言ってくれる人はいたけど
高校卒業まで誰とも付き合う事もなく
私の恋は前に進めなかった。