この恋の結末【短編:完結】
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目に焼きついて
耳に焼きついて
忘れようとしても
頭から離れてくれなかったあの光景。
思春期で多感な13歳にして
私はそれを目の当たりにしてしまった。
玄関で靴を脱ぎ
廊下を歩いていると
『……あっ……リョウ…ヤ…く…。』
……えっ?これって、母親の声?
何だか違和感を感じるのは
母親の声が
淫らな女性の声に聞こえたから…。
しかも、聞こえるのは
父親と母親の部屋兼寝室から。
『……純子さん。』
母の乱れた声の後に
母の名前を呼ぶ涼弥先生の声まで。
…ねぇ、そんな声出して何してるの?
見ちゃいけない。
見たら私は絶対に
トラウマに苦しむ事ぐらい
わかっていたはずなのに
私は手を伸ばして
ドアを開けて見てしまった。
「…………!!」
私はドアの隙間から見てしまった
その光景に大きく目を見開いた。
……それは
母親がベッドで
涼弥先生を押し倒していたからだった。