この恋の結末【短編:完結】
『……リョウヤ…愛してる。』
先生を呼び捨てにした母親の目は
明らかにいつもの母親じゃなかった。
衣服が乱れていた母親の手が
涼弥先生のシャツを捲り上げる。
ピンクのマニキュアがついた爪が
淫らに見えて
母親が狂っているようで怖くなる…。
『…リョウヤ…あなたさえいれば
旦那なんて一生…。
……単身赴任してくれてたらいい。』
母親が先生の素肌を指でなぞると
『……純子さん…あっ。』
涼弥先生が
感じているような声を出した。
…やめてよ……お母さん。
涼弥先生から離れてよ…。
先生…。
母を『純子さん』なんて呼ばないで。
だけど…声に出したくても声が出ない。
母親が今まで抑えていたと思われる
女性としての本能は止まらない。
『…リョウヤは…ずっと
あの子の…家庭教師…してよ。
…勿論、お給料…弾ませるし
お小遣い…欲しいなら
あなたには……いっぱいあげる。』
そう言って唇を這わせていた時
…私は咄嗟にその場を逃げ出していた。