車内恋愛。
「よし、じゃあ行きますよ〜。」

「はい!」

こうやって、旬さんが運転する隣に座るのって久しぶりだな。
1段階を担当してもらってたときは私が助手席に乗って、先生の見本を見る。というのがあったもんね。


「免許取ってから運転した?」

「あ、まだ…です。」

「まじか。家の車で運転させてもらいなよ?せっかく免許取っても、運転の仕方忘れました、じゃもったいないしね?」

「確かに…。今度頼んでみます。」

「うん。教習車と家の車の形って違うでしょ。また全然違うしね。見え方とか。」

「へぇ〜。さすがです。」

「まあ、教官になって3年は経ったしね。」


あれ、3年?旬さんって何歳だっけ?
20代後半だよね?
それで3年ってことは、転職したってこと?


「旬…さんって、今何歳でしたっけ?」

「え、俺?今27だよ。」

「じゃあ24のときに教官になったんですか?」

「うん。大学卒業して、2年は車関係のところで働いてたけど、俺は車の運転が好きだし、教える側になりたいな〜と思って。運転の楽しさを知ってもらいたいな、とか考えてさ。」

そうだったんだ…。

「なんだか、すごいですね。実際、私は運転の楽しさを教えてもらえましたし!」

「そっか、それは良かった。」

聞いたことがなかった、旬さんのこと。

「俺なんか、まだまだ下っ端だけどね。後輩なんてまだ2人しかいないし。」


私は旬さんの過去は何も知らない。

関西弁ではないから、おそらく関西に出て来たんだろうし、大学ではどんな感じだったのかとか、部活とかサークルは何してたかとか、彼女はいてたのか…とか、知らないことばっかり。

気になる…な。

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