車内恋愛。
カードを見て、印字されてある名前…誰かわかんない、わかんない。


時間になり、教官たちが出てきた。


確かに若い人もいる。
おじさん、って言ってもかっこいい人もいる。

「森川さーん。」

「あ、はい!」

私の名前を呼んだのは、少し怖そうなおじさんだった。

「はい、原簿もらうね〜。あとカード見せてね。あ、今日は2時間目ね。はい、移動しましょう。」

グローブがよく似合っているおじさんって感じの人。


「よっしゃ、まずは教本見て説明せなな。ここ、見てみ。曲がり角ね。」

初めに怖そう、って思ったけど、”いいおっちゃん”って感じだな。って思うようになった。


「はい、ここで回して回して〜、はい、戻す〜。」

私の隣でわかりやすくハンドルを回すタイミングを言ってくれる教官。

「そうそう、バッチグ〜やな!」

「あ、はい、ありがとうございます…。」

少し古いネタを入れつつも、すごくわかりやすいし、とにかく楽しかった。

「はい、じゃー今日は終わり!お疲れさん。」

「ありがとうございました。」


さっきの時間では失敗したことも、今回はできた!

それに、楽しくなってきたように思えた。



学科をもう一時間受けて、送迎バスで帰った。
バスはまた運転手のおっちゃんと二人きりだった。

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