車内恋愛。

その日の夜。



プルルルル…


私の電話が鳴った。
画面に表示されたのは旬さんの名前。


「……もしもし…」

「未玖！？」

「旬さん…」

「なんで今日すぐに帰ったんだよ。行ったら柿原さんにもう未玖は帰ったって言われて…。」

あの場面を見ちゃったなんて言えない。
なんだか胸の中がモヤモヤする。

「よ…用事を思い出しちゃって…」

そんなの嘘。

これが“嫉妬”って言うのはわかってる。


わかってる…けど



やっぱり見ちゃったら不安が募る。



旬さんの仕事を理解してたはずなのに。



「未玖…今出てこれる？」

「え？」

「未玖ん家の近くのコンビニ。来て。」


旬さんはそれだけ言って電話を切った。


え、旬さん近くまで来てるってこと！？


私は戸惑いながらも家を出た。