車内恋愛。
「お、未玖、ついに教習行き始めたんだ!」

「うん!」

今日は週に一度の授業、ゼミの日です。

「どんな感じ?」

「んー、まだ乗ったのって2回くらいだからなんとも。まだ慣れないからこわい。笑」

「へえ〜。私は免許まだだからなー。就活終わったら取りに行くわ。」

私と話してるのは、同じゼミで仲の良い柏田知美(かしわだともみ)。

「出会い…ありそう?」
ニヤッとした顔で聞く知美。

「ないよ〜。教習所で出会いなんか。受けてる教習生もおばちゃんやおっちゃんばっかり。学生いてても、特に話すとかないし。」
教官と受付の人以外と話さないしね。

「誰が教習生との出会いがあるか、って聞いてると思う?私の言う出会いは、教官と。」

「え、教官??それもないない〜、だってそれこそおじさんだよ?…あ。」

「ん?あ。って何なに!?可能性でもあるの?」

「いや、おじさんばっかりではないなー、って思っただけ。出会いはないよ。」

瀬口先生とかだと若いよね。
何歳くらいなのかな〜。
絶対まだ20代な気がするな〜。



女子大に通い、共学のサークルに入りながら、彼氏が出来ずに大学生活が終わろうかとしている人がここにいまーす。笑


「かっこいい人とかいないの?」

「んー、かっこいいおじさまはけっこういるかもね。笑」

「何だそれ。笑」

だって、教官だよ?

教官との出会い…ってさ。
教官のこと好きになる….ってさ、あり得ないよ。



私はそう思ってる。


車の免許を取るために行ってるんだから。

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