車内恋愛。
「はい、ハンドル返しますね。」

「はい…。」


「もっと左、車が道路の真ん中に走ってるようにね。」
「はい。」

ついつい、右に寄ってしまう私。

「よし、ちょっと止めましょか。」
「え、はい!」

車を止める。
瀬口先生がハンドブレーキをぐいっと引いた。


「一度車から降りて見てみましょ。」

「はい。」

なるほど!乗ってたらどんなに左が空いてるか、右に迫ってるかわからないもんね。


「あ、左が…。」
ガラーンと空いていて、まだまだ寄れる。

「意外とね、こんなに空いてて大丈夫だから。ほんと、左寄り過ぎちゃうか?ってほど寄っても大丈夫と思ってもらえたら。」
「はい。」
「よし、見たところで、また一周しよか!」
「はい!」

車に乗り込み、シートベルトをする。

男の人のシートベルトをカチッと止める仕草、好きかも。

そう思った。


「今大学生でしたっけ?」
「はい。大学4回生です。」
「お、じゃあ就活とか?」
「就活は終わりました!だから免許取ろうと思ったので。」
「おお、就活終わったんですか!え、早くない?」
「早い方だと思います。」
「おぉ、優秀ですね!」

ふと目が合う。

ードキッ。


「いやいや、それはないですって。」
「あ、次左ね。」
「はい!」


会話しながらの運転。

なんだか、楽しい。
< 24 / 140 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop