車内恋愛。
学科も良い感じに進んでいる。

技能も再開させた。


技能は6時間目。
技能を遅らせたのは、効率良く進めていきたいのもあったけど、2段階に入り、卒業までのカウントダウンを感じるようになり、寂しくなったから。

少しでも教習所に通い続けていたい。
そう思うようになっちゃったから。




あまり期待はせず、カードを機械へ通す。
どの教官でも優しいし、楽しいけど…やっぱり、瀬口先生に担当してもらいたいな、って。



ガチャッー


カードが出てきた。
今日は2時間。


11:10 AT 瀬口
12:10 AT 佐々木



え…

うそ…



瀬口先生だ……!!


「森川さん〜。」
「あ、はい!」

心の準備ができてなかったから思わずバッと立ってしまった。
なんだか恥ずかしい〜!!

「はい、じゃあ原簿とカードと仮免許と…。」
「はい。」

心臓の音が早い。

「じゃあ返すね。行きましょか。」
「……はい。」



久しぶりに担当してもらえるなんて…。

ずっと話したかった。
ずっと担当してもらいたかった。

もう、教習どころじゃないよ……。


「路上は慣れてきたかな?」
「まあまあ…です。」
「ま、安全運転してりゃ大丈夫だから。じゃあ〜、4号車で。」
「はい!」
「点検するよ〜。」

先生は私のこと覚えてはくれてるみたいだけど、どう思われてるのかな。


「はい、また今日は違うルートで行きます。今日は教習所を出てからすぐ右折で。」
「はい…。」
「では、行きましょか!」
「はい。」

「後方よし、後方よし。」


久しぶりに隣に座る瀬口先生にドキドキしてる。
好きって気持ちが強くなれば強くなるほど、先生がますますかっこ良く思えて、どんな仕草も、どんな話し方も好きで…。

「ここは真っ直ぐ前にね。もう少し前…。そうそう。後ろの車のことも考えて…、よし、行こ。」

こうやって隣で言ってくれることまで嬉しく思える。

他の教習生にもこんな風に言ってるんだろうけど。


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