車内恋愛。
「森川さーん。」
「はい。」

サッと先生のところへ行く。

「はい、じゃあ頑張りましょっか。」
「はい!」

瀬口先生もすぐに私のところに来てくれた。
私のこと、覚えてくれている。


「もう暗くなってきたね。」
「そうですね…。私、この時間に乗るの初めてなんです。」
「そっか。けっこう朝とかに乗ってる感じだよね。」
先生が原簿を見ながら言う。

「まあ、夜は暗いから見落としやすいところがあるけど、いつも通りしてれば大丈夫。じゃあ、点検しましょか。」
「はい!」


点検が終わり、運転席に乗り込む。

「よし、ラストスパートだね。じゃあ、地図を広げて…。」
「はい。」

暗くなってきて、所内も点灯しだす。


「発車の前に、ライトつけとこうか。」
「ここ…ですよね?」
「そうそう。カチカチって2回回して…」
前が照らされる。
「じゃあ、行きましょう。」
「後方よし、後方よし。」


路上に出る。

暗い車内。隣には瀬口先生。
もうそれだけで緊張する。

「もうすぐ…終わりだね。」

そんな先生の声にどきっとする。

「はい…。」

「まあ、森川さんの運転ならささっと免許取れそうだね。」
「いや〜、わかんないですよ。でも、一発合格は目指してます。」
「はい、次の交差点を…?」
「左折…です。」
「そうそう。」


大したことを話してないのに、すごくドキドキしてる。

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