車内恋愛。
「柿原さん…」
「はい。」

緊張する。


「瀬口…先生、いてますか?」
「はい!お待ち下さい。」

なんだか、さっきより笑顔だったように思えた。



先生を待つ。


ちょうど実車の時間とかぶったみたい。

スタッフルームからは教官がぞろぞろと出て来た。

私はもうここで名前を呼ばれることはない。


「森川さん。」
「あ!瀬口先生!!」

教官たちに紛れて出て来た先生。

「免許!取れました!!」
「おぉ!おめでとう〜!!ついに!だね。」
「はい!」

まるで自分のことのように喜んでくれる先生。

免許を見せる。

「初の免許。本当におめでとう。写真映りいいじゃん。」
「いやいや、悪いですよ〜。」
「緊張した?」
「それはものすごく!!心臓出そうなくらい!特に発表のときはやばかったです!」
「すごい緊張したんかな〜ってわかるかも。」
「掲示板に自分の番号が出たとき、もう泣きそうでしたもん。これ、番号です。」

私は撮った写真を見せる。
私の525が乗った掲示板。
見せるのに先生との距離が近くてドキッとした。

「え、何番?」
「525です。ここ。」
「え、525?俺の誕生日じゃん。」
「ええ!?まじですか?5月25日ですか?」
「そうそう!!びっくりした!ってことは、俺のおかげってことかな?誕生日パワーで。」
「誕生日パワーってなんですか!でも、そうかもしれないですね?」

もう、先生と話すのが嬉しい、楽しい!

私の受験番号が、先生の誕生日だったなんて!!





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