紫季と惺

帰宅

「本当に、何もないから。ごめんね。」


「教えて下さい!」


「だーめ!」





 私の?顔を見て、惺は、言った。








 でも、私は、知ってる。


 私が、少し無理矢理に話題を変えたことに、笑ってるのだと。


 その何かが面白いのかは、わからないけど。


 でも、なんとなくここは、とぼけた方が良い気がするので、これ以上は、聞かない。


 女の勘って言うやつ?









「今日は、本当にありがとうございました。お金まで、払ってもらって…。」




 私が、お手洗いに行ってる間に、惺が払ってた。









「いいの。いいの。あ、今度は、紫の奢りね!」


「えっ?嘘!」


「嘘。嘘。ごめんね。こちらこそ、ありがとう。」


「いえいえ。じゃ、私、帰りますね。」


「送らなくて大丈夫?」


「あ、もうこんな時間!でも大丈夫です。すぐそこですから。送り狼に、なられても困るので。」


「狼には、ならないけどね。でも、夜遅いから、気をつけてね。何かあったら、交番か、110に。」


「わかってますよ。」


「じゃ、またね。」


「では。」



 
 私は、惺にお辞儀をして、家に向かった。






 森山に、電話しようと思って、止めた。
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