紫季と惺
「あ、ごめんなさい。」


「いいですよー。俺的には、得な感じ?こんな美女に、倒れてこられて。それより、大丈夫?」




 惺は、私の手をとった。




 私は、つまずいてよろけた風を装って、店内で、軽食をとってた惺めがけて、勢いよく倒れた。






「大丈夫…あ、痛っ…。」




 私は、自分の足をさすった。




「大丈夫?足くじいた?」




「うーん。そうみたい。でもなんとか大丈夫でしょ。…あ、痛いっ。もう…。」




 私は、自分のくじいた右足首をさすりなから、言った。




「大丈夫?立てる?」




「難しいみたい。もう少し、私、ここにいます。すいません。」




「それは、良いけどね。でも、床にずーっと座り込んでるのも、どうかと…。」




「ですね。」




 私は、苦笑いした。




「そこで、俺からの提案!俺の家に、来ない?俺の家、結構近くなんだよね?あのビルの4階。」




 惺が、指差したビルは、確かに近かった。




「でも、私、今歩けないし…。もう少ししたら、痛みも治まって、大丈夫だと思うから、ここにいます。」


「うーん。めんどくさいこというなー。」





 その途端、私の体が、宙に浮いた。
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