紫季と惺
惺の家
「湿布かって…。あ、まだ寝てるのか。」




 惺、帰ってきたのか。


 今、何時よー。


 私は、寝返りをうつふりをして、ローテーブルにあった時計を、見ようとした。




「今は、朝の5時。狸寝入りとは、感心しませんな。」




 ローテーブルにあった時計を片手に、惺はこう言った。




「だって、私が寝てたら、どんな反応するかみてみたくて。」


「そんな、騙すみたいなことしないで下さいな。」


「あ、すみません。」







「湿布貼る?」




 惺は、私に湿布を差し出した。




「ありがとう。まだ痛いから。貼らせてもらいます。」


「よく、こんなので、喫茶店で意地張ったよな。」


「何か言いました?」


「こっちのこと。湿布貼ろうか?」




 湿布貼るのに、わざと悪戦苦闘してた。




「お願いします。」






 


 げ。貼ってもらってるのに、こそばくなってきた。




「はい。終わり。」


「ありがとうございます。」




 湿布は、結構綺麗に貼れていた。




「足首、弱い?こそばそうにしてたけど…。もしかして…?」


「もしかしてって何ですか?こそばかったんです。」


















「冗談だよ。そんな怒らなくても。ところで、オレあっちで寝るけど、あんたどうする?」


「どうしよっ…。今日仕事休みだし。とりあえず、まだ少し痛いし、向こうの椅子で休みます。えっと、あなたはこちらのベッドでどうぞ。」


「じゃ、疲れたし、このベッドで、寝さしてもらうよ。お休み。」










 あぁ、緊張するー。


 早く終わりたい。
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