強くなりたい。

しえる「だ、大丈夫!?エレナちゃん、ぜんそく?」

慌てて肩をさする。

エレナ「や、やめてっ!!!」

反射的にエレナちゃんがあたしから離れて叫ぶ。
大きな声だったので、クラス中がしーんとなるかと思ったけど、
みんなお喋りに夢中であんまり注目されなかった。

……………………ってか!!
さすっただけなんですけど!!!

エレナ「あ……ご、ごめ、ごめんなさい……。私…人見知りで…。」

しえる「そうなんだ!ごめんね、急に触っちゃって。びっくりしたよね。」

ニコッと笑ってそう言う。
こんなあたしを、自分でも二重人格だと思う。

でもこれが、人間関係を良好に保つ、一番の方法。
八方美人でもなんでもいい。
人間社会はそうやって成り立つ。
あたしは前の学校でこのことを学んだんだから。


エレナ「…………。ご、めんな、さい……。」

しえる「いいのいいの!気にしないで!」

エレナ「あ、あの……じゃあもうすぐ…1時間目始まるから…席に…」

しえる「そうだねー!」

ガタン。
椅子をひいて席に着く。
机を動かしてエレナの机とくっつける。
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