彼のヒーローヴォイス
「怜…オレはいつでも怜の味方だからな。怜の決めたことならいつだって応援する!」
私を見下ろしながら、真剣な眼差しを私に向けて言った。
言葉に出来ないほど嬉しい気持ちが大きくて何も言えず、ただ私は頷くしかできなかった。
「ほら、帰るぞ、残りいらねぇなら、オレが食うぞ」
私が持ってる残りのシュークリームに手を伸ばしてきたので、急いで残り全部を口の中に入れた。
「マジかよっ! でけぇ口!」
「んんー 、ふぁって、ふゅんふぃてぃふぁ…」
シュークリームが口の中いっぱいじゃ、うまくしゃべれない
「なにやってんだかー、オレが人様のもの取るワケねぇだろっ? まったく…
ほら…」
なにげに、左手を、まだベンチに座る私に差し出してきた。
え…?
「帰るぞ」
「あ、う、うん…」
差し出された左手に私の右手を重ね、純一の少しだけななめ後ろを歩く。
斜め右にいる純一の左横顔は、男のくせにキレイに整っているのを眺めながら、歩いた。
そんな些細なことだけど、心の底から嬉しかった。