彼のヒーローヴォイス

鞄の中に入れていたスマホも取り上げられてしまい、

純一との連絡も絶たれ

翌週、私は学校へ行く気力がなく、自分の部屋に引き籠っていた。



時々、母や姉が様子を見に部屋へ入っては来たけれど、布団をかぶって適当に応えていた。

心配してくれているのはわかっていた。だけど、今は誰とも話したくない。

そんな気持ちの方が勝っていた。


当然、4日も学校へ登校しなければ、学年が違う純一だって気付いているはず。

純一に会いたい。会っていつもの声を聞きたい…。

そんな小さな願いが通じたのか…。

外の空気を入れ替えようと窓を開けて、テレビをつけて画像だけを目で追ってた時だった。

コツン…と、何かが窓に当たったような音がして、窓際に寄ってあたりを見渡した。


すると、家の前の道路で大きく手を振る純一の姿があった。

何やら、右手に何かを持っていて、野球のピッチャーのようなしぐさをしてる。


もしかして…投げるのかな?と理解し、網戸を開けた。

すぐに、綺麗な放物線を描いて純一の投げたものが私の部屋に落ちた。


すぐにそれを拾うと、白い紙に包まれたお守りだった。

「コレ…あの時行った神社のだ…」


包まれている白い紙には、


【諦めるな】


それだけが書いてあった。


「ふふっ、純一ってば…相変わらず汚い字…」


再び窓の外を見れば、去って行く純一の背中、

私より年下なのにとっても頼りになる。

そんな純一の気持ちに応えたいと思い、その時、私はある決心をした。
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